水売り
鈴木春信
「壺算」という落語があります。二荷入りの水がめを買いたい少し間抜けな主人公。買い物上手な兄貴分に応援を頼みます。兄貴分は何故かまず3円50銭の一荷入りの水がめを3円に値切って買います。一旦店を出て後間違えていたと今度は二荷入りの水がめを注文。二荷入りの壺は一荷入りの倍だから6円。うまく1円値切りました。そして支払った金が3円、3円の一荷入りの壺を引き取ってもらうから併せて6円、と話を付けようとする噺です。 「壺算」はもともとは建築関係の「坪算」。坪数を誤ることを云い、これが転じて商取引で先手を打たれて不利になる事、勘定あって銭足らずなどを意味するようになった。
江戸の下町は埋立地で浅井戸は塩分が多いため、生活用水はいわゆる水道井戸に頼っていました。その一つを担ったのが羽村の取水堰で多摩川の水を取り入れた玉川上水。四谷の水番所まで43km、標高差92m。すなはち1メートル当り2ミリの勾配という技術の高さ。その玉川上水が完成したのが1654年6月20日です。
その水道井戸も清潔さと味で今一だった。そこで飲用にはもっぱら天秤棒で商う水屋から買っていました。荷入りは水の量のいわば単位、画像のように前後2桶約4斗72リットル。 これで4文。江戸っ子が「1荷4文の水道水で産湯をつかかった」と啖呵を切るのはこれです。 「水や、よろしゅう」と声を出しながら売り歩き、留守中に補充したりとサービスもよかったとか。生活必需品のため休みはとれず 、80kgを担いで4文とは重労働ですね。儲けが薄いせいか上方の水屋は副業を持っていたとか。それが何故か葬儀屋です。そして多くの屋号は水熊、今でも大阪の東成区にあります。
これとは別に、夏遠い水源で汲まれた冷たい水に砂糖. と寒ざらしの白玉が入ったものが売られていました。
香蝶楼国貞画 「俳優見立夏商人」水売り
福珠園輝人 なまぬるい役者のきもをひやさせむ うつ巻瀧の氷水売り
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