七夕 大はしあたけの夕立
「名所江戸百景 市中繁栄七夕祭」
広重
江戸百の秋の部の巻頭を飾る一枚です。
星あひのささかに掃かむ粕でっち (丁稚)
敬雨(祇空)が小咄にあるような句を詠んでいます。 夜空の星を弟が箒で落とそうとしているのを見て、兄がそれでは星に届かない。ものほし棹を接ぐか物干し台に登れと。それを見ていた親が、「さすがに兄はしっかりしている」。 「ささかに」は蜘蛛のこと転じて織姫星。この7日は旧暦7月7日、七夕です。
物干し台から江戸の七夕を眺めている人がいます。ヘンリー・スミスによると江戸百の「市中繁栄七夕祭」 は大鋸町の広重の自宅からの眺めだそうです。広重は嘉永2(1849)年以来、中橋狩野新道に居を構えました。狩野安信を祖とする中橋狩野派の屋敷の隣です。江戸百は安政の大地震後の復興の様子を描いたものと云われています。絵の下の方に描かれている蔵、「四方蔵」と知られた南伝馬町の蔵です。地震後は空き地であったのが復興した様子が見て取れます。遠くには火の見櫓も描かれています。広重が火消同心として勤務した八代洲河岸の屋敷の櫓だそうです。
この絵と同じような広重の絵がもう一枚。 「不二三十六景 大江戸市中七夕祭」。 これは嘉永5年(1852年)の作、「市中繁栄七夕祭」は安政4年(1857年)。蔵の様子に違いがあります。
旧暦の7月7日の月は上弦。 西に傾く半月を船に見立てることもあったようです。 月の船が山の端に隠れると夜空の真ん中に
天の川が浮かび上がり、その両岸に織姫と彦星が輝く・・・。
七夕は旧暦に限ると思えてきます。
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