脳の大きさを制御するメカニズム発見
理化学研究所(理研)は9月5日、「長年の謎だった脳の大きさを一定にするメカニズムを解明することに成功した」と発表した。理研では、「ES細胞(胚性幹細胞)などから分化させた組織や臓器を正しいサイズや形で発生させて移植する技術につながる」と期待しており、成果は、同日付の米国の科学雑誌「Cell」に掲載された。
生物は、一つの受精卵が繰り返し分裂し、細胞を増やしながら多様な細胞や組織を形成する。その発生過程で、脳や心臓など主要な臓器の大きさは、環境の影響を受けず、ほぼ一定で発生し、個体差はわずかという。これは、発生学の歴史の中で大きな謎の一つだった。
理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の細胞分化・器官発生研究グループは、アフリカツメガエルを用いた研究で、脳の発生を促進する神経誘導因子「コーディン」と結合し、その分解を促進するタンパク質「ONT1」を発見。「ONT1」が、「コーディン」の量に応じて、その量を増減し、「コーディン」の量を調整していることが分かった。これにより、「コーディン」の場合、「ONT1」によって活性が一定になり、発生する脳組織の量も一定になることが解明できた。
また、「ONT1」の機能が消失すると、脳組織の発生の制御が不安定になり、「コーディン」が少し多く働くだけでも、巨大化した脳組織が発生することも突き止めた。
同グループでは、「脊椎動物の受精卵が分裂を繰り返すだけで細胞の発生が進行する過程で、多様な臓器のサイズがどのようにして自動的に決定されるのかという根本的な生命科学の疑問に対し、一つのメカニズムを提案できた。今回の発見は、自動的に組織を一定にする制御機構の例であり、次世代のより高度な再生医学の発展の上で先導的な意義を持つ」などと話している
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