煙管と櫛と富士
先日今年の流行語大賞が決まり、今年の漢字もまもなく発表されます。
皆さんはどんな字を思い浮かべますでしょうか。時の流れが速く様々な事件事故が起こるので一字を選ぶのは大変ですね。ニフティーで選ばれたのは「変」だったですね。
時代は刻一刻と変わりますし、言葉は生き物ですからそれらを反映します。
必要に駆られてたくさんの和製漢語が作られ、中国にも輸出されています。
漫画、芸術、経済、目標、平面、失恋、質量などの言葉がそれで多岐に渡って数多くあります。
「解体新書」の頃も同様です。例えば扁桃腺、リンパ腺の「腺」。当時オランダ語のklierに当たる日本語がありませんでした。杉田玄白は発音から機里爾としましたが、大槻玄沢は濾胞という新語を作ったりします。そして玄白の弟子の宇田川榛斎が「腺」という新しい漢字を作りこれに当てました。それが今日でも使われています。
井原西鶴も漢字をたくさん作り出したようです。その一つが
。
キセルと云う字です。普通煙管と書き表しますが、西鶴は何故か新しい字を作り出しましたが定着はしなかったようです。 パソコンでも見当たりません。
この字が百年後に蘇えります。北斎の「今様櫛○雛形」です(丸の部分が新字)。全3巻から成り、当時、贅沢品であった櫛や煙管を作る職人が参考にする図案や模様をまとめ
たデザイン集です。上中の部には櫛の模様雛形、下の部には煙管に使用する模様が描かれています。櫛の模様には源氏物語を題材にした物もあります。「浮船」「朝顔」「紅梅」の三つです。さらに中の部にはなつのふじ・うらふじ・ふゆのふじ・よあけのふじ・八ツがだけのふじ・みこしのふじ・きようかのふじ・くわいせいのふじが描かれています。これを見て版元が北斎に方位・気象・季節・時間を変えた富士の姿を錦絵に仕立ててみたらと持ちかけたのではないか。それが8年後の冨岳三十六景に至ったのではないかとも考えられています。
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